聖書の中には、数千年前に書かれたにもかかわらず、まるで現代科学の知識を先取りしているかのような一節があります。その一つが旧約聖書のヨブ記26章7節です。
「彼は北の天を空間に張り、地を何もない所に掛けられる。」(口語訳)
この短い一文が、どうして科学的な事実と結びつけられるのか、少しひも解いてみましょう。
「北の天を空間に張り」とは?
原語のヘブライ語では、「張り」にあたる部分は natah(ナタ) という言葉で、「広げる」「伸ばす」だけでなく、「傾ける」という意味もあります。
聖書を神の啓示と信じる人々の中には、この「傾ける」という意味を「地球の地軸の傾き」と重ね合わせる人がいます。
地球は、自転軸が約23.4度に傾いていて、この傾きが四季を生み出す大きな要因になっています。
古代人がその事実を知るすべはなかったはずですが、聖書にはそのようなニュアンスが含まれている、と解釈するのです。
「地を何もない所に掛けられる」とは?
当時の多くの文化では、地球は巨大な動物や柱に支えられていると考えられていました。
たとえば、古代インドでは亀や象、古代ギリシャではアトラス神が地球を担いでいるという神話があります。
ところが、ヨブ記は「地を何もない所に掛けられる」と表現します。
これは現代の私たちが知る「地球は宇宙空間に浮かんでいる」という事実に近い表現です。
もしこれが単なる偶然の詩的表現ではなく、神の啓示によって書かれたものだとしたら、これは非常に興味深いことです。
古代の詩か、それとも啓示か?
もちろん、この節を単に詩的な比喩と見る学者もいます。しかし、聖書の信憑性を信じる人々は、「古代人の想像を超えた科学的な事実が記されている」という点を重視します。
もしヨブ記が書かれた紀元前の時代に、現代科学の知識を持っていた人間がいたとしたら、その知識の源は何だったのでしょうか。信仰者はそこに「神の啓示」を見るのです。
聖書に触れるきっかけとして
聖書をまだ読んだことがない人にとって、「神の言葉」と言われても、なかなかピンとこないかもしれません。
しかし、こうした「時代を超えて科学と響き合う一節」に出会うと、聖書をちょっと開いてみたいと思うかもしれません。
ヨブ記26章7節は、ほんの一行ですが、そこから広がる物語と思想は驚くほど深いのです。
まとめ
「北の天を空間に張り」は、地軸の傾きを示している可能性がある。
「地を何もない所に掛けられる」は、地球が宇宙空間に浮かんでいることを連想させる。
古代世界の一般的な宇宙観とは異なる、独特で先進的な描写。
聖書は単なる宗教書ではなく、時に現代の科学と響き合う不思議な書物です。