人間の健康は、食事や運動といった外面的な要素だけでなく、心の持ち方によっても大きく左右されます。
いつもカリカリと怒りっぽく、イライラを抱えている人よりも、物事を穏やかに受けとめ、楽観的に考える人の方が健康寿命が長い―これは現代の医学的研究でも裏づけられつつある事実です。
そして、聖書はすでに何千年も前から、この真理を明確に語ってきました。
1. 聖書の知恵―感情と体の健康
箴言14章30節にはこのように記されています。
「穏やかな心は身(み)の命である、しかし興奮は骨を腐らせる。」
この短い聖句の中に、深い人生の知恵が凝縮されています。
怒りや妬み、焦りといった感情が続くと、体にストレスホルモンが過剰に分泌され、免疫力が落ち、さまざまな病気の温床となります。
反対に、穏やかで安らぎのある心は、血流や呼吸を整え、全身を健康に保つ働きをもたらすのです。
さらに、箴言17章22節にはこうあります。
「心の楽しみは良い薬である、たましいの憂いは骨を枯らす。」
喜びやユーモアを忘れない心が、どんな薬にも勝る癒しをもたらすことを示しています。
2. 呼吸と心の関係
人は、怒ると呼吸が浅く速くなります。胸が詰まるように苦しくなり、血圧も上がります。
逆に穏やかな心を保つとき、人は自然に深くゆったりとした呼吸をしています。
深い呼吸は酸素を全身に行き渡らせ、自律神経を整え、リラックスした状態へ導きます。
まさに「穏やかな心は身の命」という言葉は、呼吸の在り方とも直結しているのです。
3. 現代医学の裏づけ
現代医学でも、慢性的なストレスが体に及ぼす害は広く知られるようになりました。
動脈硬化や心臓病、消化器系の不調、免疫力の低下などは、長期的な怒りや不安が大きく関与するといわれます。
逆に、笑いや穏やかな人間関係が長寿をもたらすことも研究によって確かめられています。
つまり、聖書が説く「穏やかな心」は、信仰の世界だけでなく、健康科学的にも裏づけられる普遍的な真理なのです。
4. 実生活への応用
では、穏やかな心を保つためにはどうしたらよいのでしょうか。
①感情を溜め込まず祈りにゆだねる
何事も思い煩ってはならない。ただ、事ごとに、感謝をもって祈と願いとをささげ、あなたがたの求めるところを神に申し上げるがよい。そうすれば、人知ではとうてい測り知ることのできない神の平安が、あなたがたの心と思いとを、キリスト・イエスにあって守るであろう。(エペソ人への手紙4章6~7節)
②深呼吸や瞑想を取り入れる
静まって、わたしこそ神であることを知れ。(詩編46章10節)
③日々の小さな喜びに感謝する習慣を持つ
いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることである。(テサロニケ人への第一の手紙5章16~18節)
④人と比較して妬むのではなく、与えられたものに満足する
わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ。わたしは貧に処する道を知っており、富におる道も知っている。わたしは、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、ありとあらゆる境遇に処する秘けつを心得ている。(ピリピ人ての手紙4章11~12節)
これらはすべて、聖書的にも推奨される生活態度であり、同時に健康法とも言えるでしょう。
5. 結び―健康も信仰も一つの流れの中に
人は肉体と霊を分けて考えがちですが、実際には、両者は密接に結びついています。心の状態が体に影響し、体の状態も心を左右します。
だからこそ、聖書が語る「穏やかな心」を日々の生活に取り入れることは、信仰の成長と健康長寿の両方を同時に得る道なのです。
「穏やかな心は身の命」――この言葉を日々かみしめながら、まずゆったりと呼吸をして、心を静めるひとときを持ってみませんか。その積み重ねが長寿と豊かな人生を育んでいきます。