創世記と人体の相似性―第6回 二重の生命構造・神と人間、心と体をつなぐ回路

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Ⅰ.神経とホルモン――二つの命の流れ

人間の身体には、二つの生命回路が組み込まれています。ひとつは脳から脊髄へと走る神経系であり、もうひとつは血液に乗って全身をめぐるホルモン系です。

神経系は光のように速く、電気信号によって命令を伝える「言葉の回路」であり、ホルモン系はゆるやかに流れ、化学信号によって身体全体に影響を及ぼす「息の回路」です。

神経は瞬時に意志を伝達し、ホルモンはその後に心拍や体温、感情、代謝のバランスを整えます。

この二重の情報システムが重なり合うことで、人間は理性と感情、光と風、思考と生命をひとつの身体の中で統合しているのです。

 

Ⅱ.光と風の秩序――創造のリズムを写す身体

創世記の天地創造において、神はまず「光あれ」と言葉を放ち、次に「水の上を神の霊が動いた」と記されています。

ここにすでに、光と風、言葉と息という二重の創造のリズムが現れています。

人間の身体もまた、その構造を正確に写し取っています。神経系は「光の流れ」として上から下へ秩序を与え、ホルモン系は「風の流れ」として下から上へ生命の息を送り返します。

天の光が地を照らし、地の水が天に蒸発するように、この二つの回路は常に循環しながら、生命の均衡を保っているのです。

 

Ⅲ.神と人間の相似――上と下を結ぶ対話構造

神経は天に属し、ホルモンは地に属します。前者は理性と意志を、後者は感情と欲求を司ります。神経は「命令する者」であり、ホルモンは「応答する者」です。

言い換えれば、この二重構造はそのまま「神と人間の関係」を象徴しています。

神は天において言葉を発し、人は地においてそれに反応し、祈りや行いを通して再び天に応える。上から下へ、下から上へ――その往復の中に、生命の対話が成り立っています。

人の体内では、脳が電気信号を放ち、各臓器や細胞がホルモンを介して応答する。その連携は、まるで創造の言葉が肉体に響き、肉体が祈りによってその言葉に返答しているようです。

神経は「上からの意志」、ホルモンは「下からの感情」。この上下の共鳴こそ、人間が「神の似姿」とされた理由です。

 

Ⅳ.創造の再現装置――言葉と息の二段階の働き

創世記における神の行為は、常に言葉と息の二段階で進みました。光を生み、次に生命の息を吹き込む。

この秩序が人間の内部で再現されているということは、私たちの身体そのものが「創造の再現装置」であることを意味します。

神経が光の道として天からの命令を伝え、ホルモンが風の道として地の情動を返す。その中間に意識(霊)があり、両者の交わりを整えます。

もし理性だけが働いて感情を締めつければ、光は乾いて風を失い、反対に感情だけが暴れれば、風は荒れて光を濁らせます。

神経とホルモン、理性と感情――それらが均衡を保つとき、人は初めて「生きた魂」として完全な存在になります。

 

Ⅴ.心と体の一致――光が風を導き、風が光を柔らげる

この二重構造は、心と体の関係にもそのまま投影されています。心は神経のように見えない速さで思考を走らせ、体はホルモンのようにゆるやかなリズムでその思考を形に変えていきます。

心が光なら、体は風であり、光が風を導き、風が光を柔らげます。この両者の交わりこそが、人間が単なる物質の塊ではなく、霊的存在としての人格を持つ根拠です。

したがって、神経とホルモンの二重構造は、神と人間の関係そのものであり、また心と体の相似でもあります。

神経が「言葉」を担い、ホルモンが「息」を担い、その交流の場に霊が介在する――この三位的な関係の中で、生命は神の似姿として動き続けています。

 

Ⅵ.結論――神と人間、心と体をつなぐ永遠の回路

創造の記録は過去の物語ではなく、今も私たちの身体の中で繰り返されている現象です。

神は天に光を置き、人は地に風を受け、そのあいだで「言葉と息」が交差し続ける。神経とホルモンという二重の流れは、神と人間、心と体が交わる永遠の接点なのです。

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