1. はじめに:生命の核心は「物質」ではなく「情報」である
生命とは何か。この問いに対して、20世紀以降の生物学は決定的な転換を経験しました。
それは、「生命を特徴づけるのは物質ではなく情報である」という発見です。
DNAが生命の遺伝情報を担い、その配列が生命活動を指令していることが分かったとき、生物は情報処理システムとして理解されるようになりました。
ここで重要なのは、情報とは物質ではなく、意味の構造であるという点です。
情報は単なる物質の配置ではなく、誰かが理解できる内容を前提とします。
つまり、DNAが生命の設計図であるならば、生命とは意味を持つ体系です。
この事実は、進化論的な偶然の産物という説明と深く矛盾し、むしろ、世界がロゴスによって創造されたという聖書の理解と驚くほど一致します。
本章では、情報理論の観点からDNAの本質を分析し、生命の言語性が創造主の存在をどのように示すのかを明らかにします。
2. DNAは単なる化学物質ではなく「言語」である
DNAはヌクレオチドが連結した化学物質ですが、その本質は化学的性質ではなく情報の配列にあります。ここで自然言語との構造的類似が浮かび上がります。
(1) DNAには「語彙」がある
4種類の塩基(A・T・G・C)は、自然言語の文字に相当します。これらが並べ替えられることで、膨大な語彙を生み出します。
(2) DNAには「文法」がある
DNAの中で意味のある配列(コドン)は、特定のルールに従って読み取られます。これは自然言語における文法と同様、規則性を前提とします。
(3) DNAには「文章」がある
遺伝子は、特定の機能をもつ情報のまとまりであり、言語でいえば文章や段落に相当します。
(4) DNAには「読者」がいる
細胞はDNAの情報を読み取り、必要なタンパク質を合成し、生命活動を調整します。これは、情報を理解できる主体が存在することを意味します。
生命の本質が言語の構造を持つという事実は、生命が意味の秩序を備えた創造物であることを強く示唆しています。
偶然の変化から言語体系が生まれることがないのと同じように、DNAの意味構造が偶然の積み重ねから生まれることも不可能です。
3. 情報は「物質」ではなく「意味」である
情報は物質に付随しているのではなく、物質を超えた性質を持っています。
(1) 物質と情報は別次元である
・文字は紙のインクだが「意味」はインクではない
・音声は空気の振動だが「意味」は振動ではない
・DNAは化学物質だが「情報」は化学反応ではない
ここには決定的な区別があります。物質が偶然で変化しても、意味のある情報にはならないのです。
情報は、意図をもつ主体によって与えられるものであり、意味がなければ情報とは呼べません。
(2) 情報の起源は物質からでは説明できない
進化論は、情報の起源を偶然の変異で説明しようとしますが、意味を持つ情報が偶然に生まれる確率はゼロに近いどころか、理論的に不可能です。
文字をランダムに並べてシェイクスピアの文章ができる確率を考えれば、生命のDNA情報が偶然でできるという説明がいかに非科学的かは明らかです。
情報は必ず意図を前提とするという情報論の基本原理は、進化論との矛盾を浮き彫りにします。
4. DNA情報の成立確率の数学的不可能性
生命が進化論的プロセスで生まれたとするなら、DNAの情報はランダム変異で生じたことになります。
しかし、確率論と情報論の観点から見れば、これは数学的にありえないと断言できます。
ここで重要なのは、「不可能なほど低い確率」ではなく「本質的に生成不可能」という点です。
たとえば、100個程度のアミノ酸からなる一つのタンパク質が、完全に偶然だけで正しい並びになる確率は、ほとんどゼロに等しいとされています。
これは、宇宙中の原子をすべて使って何度試しても、まず起こらないと考えられるほど小さな確率です。
さらに、DNAは数十億文字単位の情報を保持している、しかも、その情報は意味のある文法体系を持っています。
このような情報体系が、ランダム変異と自然選択だけで生成されることは、理論的に考えても不可能です。ここで浮かび上がる結論は一つです。
生命は偶然ではなく、意味を与える主体によって創造された。この理解は、情報理論が必然的に導く科学的帰結です。
5. DNAはロゴスの痕跡か
ヨハネ福音書の1章には、「初めに言(ロゴス)があった」とあります。
これは、宇宙が言語構造を持ち、意味の秩序によって支えられているという神学的宣言であると同時に、生命科学が明らかにした事実とも驚くほど一致します。
生命が意味を持つ情報体系である以上、その根源には、意味を与えるロゴス(言) が存在すると理解するのが最も自然な結論です。
DNAは、生命の設計図であると同時に、創造主が与えた言語的秩序の痕跡とも言えます。
細胞がDNAを読み取り、意味を理解し、目的に応じてタンパク質を合成するという生命の仕組みは、世界が意味の秩序として創造されたことの証拠です。
世界は単なる物質の集積ではなく、意味の宇宙なのです。
6. 結論:情報は創造を示し、DNAはロゴス(意味秩序)の反映
生命の核心は物質ではなく情報です。情報とは意味であり、意味は偶然からは生まれません。
生命が情報体系である以上、その背後には必ず意味を与える主体(ロゴス) が存在します。
DNAは言語に似ているのではなく本質的に言語であり、生命は偶然ではなく意味に基づいて創造されています。
世界はロゴスの秩序として創造され、人間はそのロゴスを理解できるように造られているのです。
言語存在論と情報理論を統合することで、DNA=生命のロゴスという創造論的洞察が明らかになります。
生命は意味の産物であり、意味の根源には創造主がいます。DNAは、創造主が生命に刻みつけた言葉の痕跡”なのです。

