『人類の犯罪者ルーシェル』第1章1ルーシェルの正体

 『人類の犯罪者ルーシェル』 

第1章 ルーシェルの生涯と彼が引き起こした様々な事件

  1 ルーシェルの正体(※ルーシェルとはルシファーのこと)

ルーシェルは、神様が被造物を創造される時、エデンの園の中で、さまざまなことに対して、隅々まで世話をしなければならない使いの立場として創造されました。神様はルーシェルを愛されました。そして、エデンの園の中にあるすべての被造物の世話をしてよく育て、楽しむように彼を導き、教えられました。ルーシェルも、神様の命令に従ってあちこちを歩き回りながら楽しみ、神様に従順でした。

その後、神様はアダムとエバを創造し、彼らを神様の子女の格位に立てられ、「惜しみなく世話をして育て、愛しなさい」とルーシェルに指示されました。初めうちはルーシェルもとても喜びました。神様の子女の世話をしているという自負心を持ち、神様の愛にとても感動して、神様の子女をよく保護し、とても大切にしながら育てました。ただし、ルーシェルの保護とは関係なく、アダムとエバはすくすくと成長していました。

しかし、歳月が流れるに従って、次第にルーシェルは、神様の愛に反旗を翻し始めました。「いくら考えてみても、私が先に苦労してエデンの園をつくり上げてきたのに、神様はなぜ私よりもアダムとエバをもっと大切にし、愛されるのか」という疑問とともに、ルーシェルには、神様に対する寂しさが芽生え始めました。

そして、ルーシェルは時々、神様の愛に対して抗議することもありました。ルーシェルは神様に、「どうして私には下さらないみ言をアダムとエバにだけ下さり、どうして私よりアダムとエバを格別な立場で愛されるのですか。私は寂しいです。正しい道を追い求めていかれる神様が、そのようにされるのですか」と言いながら、反発し始めたのです。

そのようなことが何度か起こりました。そのたびにルーシェルは、自分が守るべき位置を失っても、アダムとエバと同等な位置で暮らしたいと思うようになったのです。特にルーシェルは、エバと接近するたびに性的な情感を抱くようになりました。そして、神様の目を巧みに避けながら、より一層強くエバに接近し始めました。

この時、天真爛漫なアダムとエバは、ルーシェルのあらゆる行動に対して、まるで父母に対するようによく従いました。ルーシェルは、自分だけが彼らの父母であるかのように行動しながら、神様の目を避けつつ、自分が彼らの主人のごとく振る舞い、アダムとエバを手の内に入れ、次第にアダムとエバと神様の関係を疎遠にさせていきました。

そして、ルーシェルは、神様の目から次第に離れて、主人のように、王のように、父母のように振る舞いながら、エバを誘惑し始めました。アダムはその事実を知らないまま、自分が行きたい所を思いのままに歩き回りながら楽しんでいました。アダムはすくすく成熟していきましたが、ルーシェルとエバの関係を全く悟れませんでした。アダムには、神様が教え導いてくださることもなかったのです。エバはルーシェルの近くで過ごしていたので、アダムは1人で暮らすのが習慣になったまま成長していきました。

一方で、ルーシェルがエバに罪の種を芽生えさせようとする時、神様がルーシェルに「自分の居る所で自分の位置を守らなければならない」と警告されました。それにもかかわらず、ルーシェルは、神様に対してさらに強烈に反抗し始めました。ある時は、自分の位置や身分も意に介さないほど大胆に行動しました。

神様は何度もルーシェルに言い聞かせました。ルーシェルに対して「自己の位置を離れれば、私の前に大きな犯罪者になる」と言われ、様々な角度から諭されましたが、そのたびに彼は神様の位置に立ち、「神様ができることは自分にもできる」と反発して、自分勝手に進んでいったのです。

神様は、ルーシェルが歴史に汚点を残さないようにするため、彼を何度も諭し、警告されました。しかし、ルーシェルは、自分が最高で、神様よりもっと高くなることができるという驕慢な心まで抱くようになったのです。

さらにルーシェルは、エバに接近しながら彼の驕慢性を伝え始めました。罪悪のうねりが波打ち、波濤のように押し寄せる中で、神様はこの上ない悲しみに耐えながらルーシェルをなだめましたが、結局ルーシェルは、人類歴史の前に犯罪者となってしまいました。

言い換えれば、ルーシェルとエバの不倫の関係が始まったのです。その事実を知るようになった神様は、どのような心情だったでしょうか。それは、涙と悲痛と痛みの入り交じったものでした。神様は、エデンの園で最も悲痛な存在になったのです。そうして神様は、このような心境を万物と共に癒やしながら、過ごしていかざるを得ませんでした。

これが何日になったでしょうか。これが何年になったでしょうか。神様がこのような心境であるにもかかわらず、ルーシェルとエバは、神様を避けながら狂ったように享楽にふけっていました。しかし、まだ分別のなかったアダムは、神様の悲しい心情を少しも推し量ることができずにいました。そのため神様は、万物を友として、子女として、嘆きの歳月を送るしかなかったのです。

その後、エバは、次第に理性的に成熟し、自分とルーシェルとの関係が不倫なものであることを悟るようになりました。このような関係の中で、エバとルーシェルの不安と恐怖は、より一層増し加わっていきました。そしてエバは、ルーシェルから受け継いだ不安と恐怖をそのままアダムに移し始めたのです。

分別のついていなかったアダムは、エバの姿を見た時、成熟した女性として不安に震えるエバを救済してあげようと、慰めながらエバの言うとおりにしてあげたのです。それがアダムとエバの愛でした。しかしアダムは、自分よりももっとエバを愛するルーシェルがいることを知りました。こうして時が流れていき、アダムとエバの複雑で険しい愛がつづられていったのです。

これが人類罪悪史の始まりであり、人類の原罪の根となりました。神様は、父母として愛することもできなかった子女を、ルーシェルに先に奪われてしまいました。その時の神様の凄惨な心情は、どれほどのものだったでしょうか。

神様はそのような悲しみと痛みの立場にあっても、父母の立場で子女たちを迎えたかったのですが、彼らが堕落して神様の前に立つことができないので、神様は父母の立場を去らざるを得ませんでした。神様と人間の父子の関係が、その始まりからこのように難しく、痛ましく、悲痛な歴史へと流れてしまいました。宿命的な愛の父子関係が、恨みと呪いと悪夢の場へと転落したのです。ですから、今こそこの罪悪歴史を正し、ルーシェルが本来の位置で神様の前に両手を挙げて謝罪する時、初めて復帰摂理の痛みと神様の恨の歴史が解かれるのです。(1999年2月10日)

李相軒先生が霊界から送ったメッセージ『人類の犯罪者ルーシェル』より

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