天和堂-心身統一と家庭和合の修練 第4章(5)貞節

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 目次

第1章 「心身統一」とその必要性
 (1)「心身統一」訓練の前提となること
 (2)なぜ心と体の統一が必要なのか
 (3)沈黙に耳を傾けることでなぜ沈黙が破れるのか

第2章 「思いの列車」から統一主義へ向かう道
 (1)「思いの列車」から降りて「今」に生きる
 (2)心の麻酔薬依存からの解放
 (3)私と私自身-分離主義から統一主義へ
 (4)真の姿になる道-「心身統一」訓練

第3章 「心身統一」訓練
 (1)心身の分裂状態を知るゲーム
 (2)訓練を始める前に
   ①環境
   ②姿勢
    1)座る場所
    2)足
    3)手
    4)背中
    5)頭
    6)目
    7)口
    8)精誠の「誠」
   ③呼吸
   ④修練時間
 (3)「心身統一」訓練の準備と始めの祈祷
 (4)「心身統一」訓練
   ①8つの予備段階訓練
   ②省察
   ③訓練
   ④献身
   ⑤結論:個人的段階

第4章 夫婦の和合
 (1)自分の変化が他者の変化を誘導
 (2)「思いの列車」に命名する
 (3)幸福に連結する「相手の立場で考える」訓練
 (4)まず共感して聞くこと
 (5)貞節(←本記事の内容)
 (6)すぐに反応しないで聞き入ること
 (7)夫婦合同の傾聴訓練
   ①葛藤の分かち合い
   ②お互いの力になってあげる
   ③相手の立場で読む
   ④相手の感情を受け入れる
   ⑤葛藤を認める
   ⑥感謝の祈祷
   ⑦瞑想と沈黙

第5章 子女との和合
 (1)子女たちへの二つの徳目
 (2)一人一人に個人的関心を持つ
 (3)宝のような子女たち
 (4)子どもたちと一緒にいるときの霊的訓練

最後に-常に完全でいることはできない

※本記事は、『天和堂-心身統一と家庭和合の修練』(文亨進著)を改訳し、抜粋して再編集したものです。


第4章 夫婦の和合

 (5)貞節

 祝福を受けた時に私たちが誓約したことの一つは、全生涯にわたって貞節を守るということでした。配偶者に対する貞節は絶対的なものです。不貞には、いかなる弁明も口実も通じません。私たちは普通、不貞は肉の弱さ、または肉身の欲望によって起こると考える傾向があります。しかし、このような考えは、不貞が始まる根源地を分析することにおいて、決定的な誤りを生むようになります。不貞は、まさに心から始まるのです。

 「統一原理」から見れば、堕落は天使長ルーシェルがエバを霊的に、あるいは精神的領域で誘惑することによって始まります。「心身統一」訓練を通して、私たちに訪れる多様な心の状態を認知し、調節できるようになれば、その誘惑が扱いづらい状態に至る前の状態にとどめる力を持てるのです。

 私たちは、姦淫しようとする心が入るやいなや、ブレーキをかけなければなりません。もし心でとどめることができれば、行動は伴いません。肉の誘惑が心を占領しようとするとき、私たちは多様なノウハウを利用することができます。例えば、誘惑が来るとき、配偶者を思ったり、自分をつねったりすることなどです。

 古代の修道僧たちが、肉身の美しさに引かれないようにするために多く用いた修練法は、誘惑する女性の骨、赤く血に染まった筋肉(解剖学的な)、あるいは女性の体全体に流れるあらゆる種類の液体(血、胆汁、小便、さらには排泄物まで)などを視覚化させることでした。彼らは、皮膚の表面ではなく、皮膚に覆われた組織、すなわち体を構成している実質的で生理学的な構造にすべての精神を集中したのであり、そのようにすることで性的な誘惑を振り払ったのです。ですから、肉体的な誘惑を感じたとき、彼らは、誘惑する柔らかい皮膚がすぐにべとべとした血管の絡まった筋肉の塊に見えたのです。

 人間には、血液が流れる青々とした静脈や深く窪んだ眼孔、そしてさまざまな筋肉があり、腸と肺と腎臓と心臓などを持っています。このような事実は、修練者たちをして、あらゆる人間は、どれほど美しいかに関係なく、すべて同じ人間にすぎないことを想起させました。このような修練の後は、肉体は何も特別なものではないものとなり、その美しさを観賞するのではなく、その誘惑の苦悩から抜け出し、自由に幸福を追い求めるようになったのです。

 しかし、この方法は、配偶者との関係に悪影響を及ぼすこともあるので、長期間用いてはいけません。誘惑がわき上がったり、再び現れたりしたときにだけ用いなければなりません。また、一度心と体に対する調節力を備えるようになった後は、それ以上用いてはいけない方法です。それでも、この方法を用いなければならないときは、同時に配偶者を肉体的、精神的、霊的にとても美しく、魅力的に見る修練とバランスを取るようにしなければなりません。

 ある誘惑の想念が「心身統一」運動を妨害するとき、最も単純な訓練法としては、前よりもっと強く呼吸に専念することです。不倫の思いが入り込めば、ただその状態を認知して、その列車から降り、より完全な集中によって汚れた空気を吐き出し、自分の呼吸に専念するのです。呼吸の質感、温度、空気がどのように上唇を経て鼻の穴の中に入っていくのかなどを感じようと努力します。呼吸の全過程に集中するのです。再び「思いの列車」に乗ってしまったら、深呼吸の修練に戻り、心と体が一つになるまで、そうして安定を取り戻すまで、この過程を反復するのです。

 もし安定を維持するのがとても困難であれば、いくら美しく見える人、たとえダイヤモンドと真珠で装飾し、とても誘惑的な服を着ているスーパーモデルだとしても、彼らの内臓には、いつも2、3パウンド(1パウンド=約453.6グラム)の排泄物を抱えていると考えてみてください。肉体的にいくら魅力的な人だとしても、ひどい臭いのする排泄物を撒き散らすはらわたを、いつも行く所に抱えているのです! 不快に聞こえるかもしれませんが、考えてみれば、あらゆる人間が実際にそうではないですか。再び呼吸と命の贈り物に集中すれば、間違いなく心の誘惑を振り払うのに役立つでしょう。

 

(つづく)

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